外資系戦略コンサルタントの育休日記

第一子誕生に伴い半年間の育休を取得した新米パパの奮闘記

ドタバタ出産録② 出産編

深夜に突然訪れた陣痛。
車を運転し、病院に着いたのが3時半。

これでほっと一安心、かと思いきや、「想定外」はまだまだ続きます。

 

増す痛み、開かずの扉

病院に到着してすぐ受けた診察では、まだ子宮口(赤ちゃんが出てくる出口)が6cm程度しか空いていないと言われました。一般的に、7cm空くと「活動期」とされ、実際に赤ちゃんが産まれるタイミングでは10cmまで広がるそうです。(※診察室から出てきた嫁から「まだ6cmだって~」と言われるも、その「6cm」がはたしてどれくらい進んだ/進んでいない状態なのかわからず、その場でググって調べました。)

一旦ベッドのある部屋で横になり、点滴を打ちながら、エコーで赤ちゃんの状態も見てみることに。

 

おでこから…?

少し時間が経って、先生が部屋に来ました。

エコーと心拍を見た先生が、穏やかな口調でこう言います。

「赤ちゃん、おでこから出ようとしちゃってますねー」

通常赤ちゃんが生まれてくるときは、顎を引いて、頭のつむじらへんからぐぐっと出てくるらしいのですが、うちのベビーは、なぜかおでこから出ようとしている。それも、かなり必死になって。

先生:「このままだと赤ちゃんが苦しくなってしまい体力がどんどん下がる一方なので、しばらく待ってみて、顎を引かなければ帝王切開にしましょう」

帝王切開。僕にでも分かる言葉です。お腹を切るということ。いままでの妊娠ライフが順調すぎたため、嫁も僕もこのときばかりは動揺を隠せませんでした。

「ベビーよ、頼むから顎を引いてくれ。」

お腹の外から何度も声に出して、そう頼みました。

 

苦しむわが子、決断のとき

待つこと1時間。やっぱり状況は変わりません。状況次第ですぐさま手術に入れるようにと、先生からいくつもの書類を渡されました。とても丁寧に説明してくれたのですが、手術の説明を受けること自体人生で初めてだったので、テンパってしまい内容がなかなか頭に入ってきません。

それでも、痛みに苦しむ嫁にかわって、書類一枚一枚の隅々まで目を通します。聞きなれない言葉も、ひとつずつ調べて確認します。

「回旋異常」

異常という単語を見たときは、泣きそうになりました。ようは「顎を引いてくれない」ってことなんですけどね。異常…なのか。。

その後再び先生が診て、やはり帝王切開でいきましょう、と。

言われた通り、手術の同意書に署名しました。横のベッドで目を潤ませている嫁も続けて署名。放心状態のまま、手術の準備に入ります。

 

手紙 

手術室に移動する直前、嫁が封筒に入った手紙をくれました。「待ってるあいだに読んでね」と言って。普段はわりとあっさりしているタイプなのに、こういうときに限ってストレートに表現してきます。それがすごくうれしくて、受け取ったとき泣きそうになってしまいました。(実際、手紙の一行目を読んだ瞬間号泣しました。妊娠発覚~出産を通じて、一番泣いたのがこのとき。寝不足と疲労で涙脆かったせいだ、きっと。)

 

無力な男

嫁が手術室へと入っていったとき、時刻は午前7時でした。

自然分娩であれば立ち合いを希望していたのですが、帝王切開なので入室不可。助産師さんから、手術室のすぐ外ではなく病棟のロビーで待つように指示されました。仕方なくエレベーターに乗り、4Fのロビーに座ります。このときの僕はもう、完全に「無力」でした。無事を祈ることしかできません。

エレベーターの音が鳴り、扉が開くたびに、ばっと顔をあげてふり返ります。それでも降りてくるのは病院スタッフばかり。

そんな動きを繰り返すこと40分、ついにそのときがやってきます。

 

エレベーター前での初対面

助産師さんに押された保育器が見えた瞬間、反射的に立ち上がりました。近づいて覗き込むと、保育器の中で動く元気な男の子。(助産師さんが両足をぐいっと広げて、"男の証"も見せてくれました笑)

カメラを向けると、自分で顔をこちらへ倒します。そんな気を遣えるなら、お腹の中でも顎くらい引いてほしかった。笑

 

その後、助産師さんから簡単に状況説明。母子ともに元気で、特に赤ちゃんはお腹から出てきた瞬間にしっかり泣いてくれましたよ、と。

(その産声、できることなら聞きたかったなぁ。。)

でもやっぱり、いまあらためて思うのは、母子の安全が最優先ということです。「立ち会いたい」とか「産声聞きたい」っていうのは、僕の勝手なわがままなので、二の次でいいんです。これでよかったんだと思います。

ベビーを安全に&できるだけ丈夫な状態で生むことを最優先に考え、自分の身体にメスを入れるという決断をしてくれた嫁。感謝してもしきれません。本当にありがとう。

 

生まれたての息子へ、いま伝えたい事

ベビーくん。産まれて来てくれて、ありがとう。
きみは陣痛の直前まで本当に順調だったけど、最後の最後にやってくれましたね笑
ママのお腹の傷は、一生消えません。毎年きみの誕生日には、その傷を触らせようと思います。とてつもない痛みに耐えて、目に見える傷をつくってまで、きみを丈夫に生んでくれたママに、本当に感謝しないとね。これからの毎日をしっかり生きて、母親孝行してください。

(あともし余裕があったら、父親孝行もお願いします。男同士、一緒に温泉に入るくらいでいいからさ。)